晴れ、時々、運命のいたずら



六本木のスタジオで、10時から雑誌の取材が始まった。



「それでは、愛姫さん、宜しくお願いしますね。」



質問をする記者、その背後にカメラマンが控えている。


愛姫の背後にはマネージャーの典子がニコニコしながら立っている。



「私共の雑誌は主に女子中高生をターゲットにしていまして、休日の過ごし方が今月号のテーマになっております。愛姫さんはオフの時は何をなさっていますか?」



取材は順調に進み、愛姫もニコニコと答えていく。



「例えば、愛姫さんに彼氏がいたとして、休日デートに行くならどこがいいですか?」



(翔太…。)



記者の何気ない質問に顔を曇らせる。



「すみません、愛姫さん、もう少し笑顔を頂けませんか?」



「え、あ、はい。」



カメラマンからの注文に我に返り、にこやかに答える。



「では、これで最後の質問になります。」



無事、取材を終えると、記者は満足した顔をしながら、典子の元へ行き、小さく話し始めた。


話し合いが終わると、典子が愛姫に近づいてくる。



「愛姫ちゃん、取材はこれで終わりだけど、もう少し、全身の撮影をしたいと言われているので、お願いね。」



「撮影?」



さりげなく時計を見ると午前11時を過ぎている。



「あの…。」



「撮影場所はどこですか?」



愛姫の問いかけを遮るように典子が記者に尋ねる。



「そうですね、外で休日を過ごすイメージで写真を撮りたいので…。近くに公園等ありますか?」



「そうねぇ~。ヒルズの方に行ってみましょうか?」


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