晴れ、時々、運命のいたずら



「ここです。」



島根が真っ白なビルの前で立ち止まった。


重厚な扉がしっかりと閉じてある。



「ここがスタジオになります。」



「すごーい…。」



その扉を見ただけで千夏は唖然として開いた口が塞がらないようだ。



「さあ、どうぞ」



島根が扉を開けて、2人を中に入るように促した。



「これは…。」



愛姫は思わず口に手を当てて目を見開いた。


目の前に広がるのは20畳以上はあるであろうフローリングのスタジオだった。


そのスタジオで10名ほどの若い女性達が鏡の前で先生らしき女性の手拍子に合わせて踊っている。



「ここがダンススタジオです。」



島根が紹介すると同時に奥を指差す。



「あちらにはレコーディングスタジオ、ボイストレーニング室があります。」



そのまま奥のレコーディングスタジオに入る。


音響器具や、マイク、ベースやギターも置かれてある。



「テレビでしか見た事ないから、実際に見ると、壮大よね~。」



千夏は興味本位に一つ一つ機材を眺め、手に取る。



「これから、愛姫さんは毎日、ここでレッスンを受けてもらう事になります。」



島根が話しながら手帳を確認した。



「ボイストレーニング1時間、ダンスレッスン3時間、またボイストレーニング1時間が基本となり、あとは、合間にパートナーとの呼吸合わせや、ここのスタッフとの打ち合わせ等が1日の主な流れになります。」



再び手帳を鞄に戻すと、スタジオの脇にある2階へ通じる階段を指差した。



「2階に打ち合わせ室や、休憩室があります。どうぞ。」


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