晴れ、時々、運命のいたずら
それから1週間が経った。
愛姫は朝から事務所に来るように言われている。
「あ、おはようございます。」
女性スタッフの1人がにこやかに挨拶をしてきたが、すぐに怪訝な表情を浮かべた。
「愛姫さん、少し痩せました?」
「そうかな…。」
「忙しいと思いますけど、しっかり食べて下さいね!」
笑顔で肩を叩かれ、愛姫も笑顔を見せる。
「ありがとう。」
同時に打ち合わせ室の扉が開いて典子が出てきた。
「あ、愛姫ちゃん、おはよう。今日のスケジュールだけど…。」
「…。」
何も言わず、ただ、典子が発する言葉を俯きながら待つ。
先日、香川に帰れなかった翌日から、もう愛姫は自分の思いを主張する事を止めていた。
言っても無駄だと気が付いたから…。