晴れ、時々、運命のいたずら
「愛姫、これは社長である私の責任。無理させて申し訳ない。」
「い、いや、そんな…。」
何が起こったのかまだ実感が湧かない。
理解出来たのは典子が出て行った事と直美が目の前で謝っている事だけ。
直美は頭を上げると両手で愛姫の肩を抱き、目を合わせて優しく微笑んだ。
「行っておいで。」
「え?」
「今からでも間に合うでしょ?」
「…。」
「香川に帰っておいで。」
「…いいんですか?」
「今日の仕事は私が責任を持って対応しておくから。」
直美の優しい目を見ていると涙が溢れてくる。
「あ、ありがとうございます!」
直美はもう一度にっこりと微笑むと肩から手を離して、事務スタッフに向かって叫んだ。
「誰か、今から愛姫を品川駅まで送ってあげて!」