晴れ、時々、運命のいたずら



東京の事務所を出る直前。



「社長、今までありがとうございました。」



深く深く頭を下げてきた。


それは有紗の覚悟の表れでもあった。



(私は、この日の為に頑張って来たんだ…。)



『必ず、東京に迎えに行くから…。』



翔太からの最後の言葉。


この言葉を忘れる事は1日たりともなかった。



(全ては翔太の為、翔太のお陰…。)



携帯の着信音が小さく聞こえる。


メールだ。


携帯を鞄から取り出し、確認する。



(穂乃花ちゃん…。)



穂乃花には、先日メールで自分の思いを伝えていた。


翔太を迎えに行くと…。


それから初めてのメールだ。


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