晴れ、時々、運命のいたずら
「こちらが、これから愛姫さんと一緒に活動して頂く奈良香織(ならかおり)さんです。」
(この人が私のパートナーであり、ライバル…。)
『その相手と競争して欲しいの。そしていずれは、どちらか1人を立派なアイドルにしようと思っているの。』
直美の思惑なら、愛姫は香織に勝たなければならない。
「こんにちは!」
香織が元気よく返事をする。
「香織さん、こちらが富山愛姫さんです。」
「こんにちは。」
愛姫も笑って返事をする。
「まぁ、とても綺麗なお嬢さんね。」
千夏は香織の顔をまじまじと見ながら感心している。
テーブルの椅子に腰かけると、島根が香織について説明を始めた。
「香織さんは16歳なので、愛姫さんと同い年ですね。」
「あぁ、良かったぁ~。年上ならどうしようかと思ってたの~。」
香織が安心した表情を見せる。
「実は5歳でデビューしているので、もうこの世界に10年以上のキャリアがあります。」
(そんなに活動しているんだ…。)
「そうはいっても、子役の頃はちょっとドラマに出てただけだから、歌を始めたのは3年ぐらい前からなの。」
「そうなんですか…。」
香織のどことなく感じる落ち着いた雰囲気は、恐らくキャリアから出ているのだろう。