晴れ、時々、運命のいたずら



「愛姫さんは、この世界初めてですか?」



香織から質問してきた。



「はい。昨日、香川から出て来たばかりで…。」



「香川県出身なの?」



「はい。」



「香川って…、北陸地方ですよね?」



「香川県は四国なの。」



千夏が訂正する。



「あ、ごめんなさい。香織、神奈川生まれだから…。」



ペロッと舌を出して軽く頭を下げる。


その顔も可愛い。



「では、早速ですが香織さんと愛姫さん、お2人のユニット名を発表したいと思います。」



「はい。」



島根が鞄からプリントを1枚取り出す。



「ユニット名は社長が考えました。名前は『Ship(シップ)』です。」



(シップ…。)



「何故、この名前なのですか?」



香織が島根の顔を覗き込む。



「シップとは船、という意味です。これから芸能界という大海原を順調に進んで欲しいとの社長の願いから名付けられました。」



「なるほど…。」



千夏が1人感心する。



「Shipとして、そして奈良香織、富山愛姫として明日から活動致しますので。」



「分かりました。」



(いよいよ本当に始まる…。)



パートナーとユニット名がはっきりと分かり、愛姫も徐々にアイドルとしての実感が込み上げてくるようだった。


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