晴れ、時々、運命のいたずら
「あんたは、香織の邪魔をしなければそれでいいの。分かってる?」
「…。」
「全く、社長も何でこんな田舎者と香織を組ませるんだろ?邪魔なだけじゃん。」
「邪魔、邪魔って…。」
さすがに愛姫も少しムッとした顔を見せた。
「何よ、その顔。さっき島根の話聞いてたでしょ?香織はもうこの世界に10年以上いるの。香織の方が先輩なの!口の利き方、気をつけなさいよ!」
「あぁ、疲れた~。」
「そうだね~。」
その時、丁度扉が開き、レッスンを終えたアイドルの卵達が休憩室に入ってきた。
「やっちゃん、お疲れ様!」
香織が愛姫と話していた口調とまるで違う、甘い声で、入ってきた卵達に近寄り1人ずつ話しかけ始めた。
(これが芸能界なのか…。)
香織の本当の思いを知った愛姫は、悔しさを噛み殺しながらもグッと両手を握りしめた。