晴れ、時々、運命のいたずら
(私…、何か悪い事したのかな…。)
「よっしゃー、ギリギリ間に合った―。」
授業が始まるまでに戻って来れた事を喜びながら、稔は何も知らず自分の席に戻ろうとしている。
その姿を目で追う。
その時、後ろから肩を叩かれ、折りたたまれたメモ用紙が穂乃花の前に投げ込まれた。
ゆっくりと開いてみる。
『副委員長、千葉君の事好きなの。
宮崎さんは転校して来たばかりだから知らないと思うけど、クラス皆、副委員長に仲良くするなって言われているの。
大丈夫、気にしないで。
クラスのみんなは分かっているから。』
周りを見渡すと、何人かのクラスメイトが黙って頷いている。
(そうだったんだ…。)
そのまま視線を稔に向ける。
稔は目が合った事に気付くと、にっこり微笑んできた。
(松本城…、どうしよう…。)