晴れ、時々、運命のいたずら
「お帰り。学校はどう?」
祖母の宮崎益栄(みやざきますえ)が優しい顔で迎えてくれた。
見渡す限りの田園の中にある2階建ての一軒家が宮崎家。
突然の北海道からの転勤だった為、穂乃花と両親は昔から千曲に1人で住んでいる益栄の家に居候状態で住ませてもらっていた。
「うん、楽しいよ。」
「それは良かった。慣れるまで大変だろうけど頑張るんだよ。」
「うん。」
自室に入り、鞄を置いて机に向かって座る。
「うーん…。」
副委員長である美咲の睨んだ顔を思い出すと、頭が痛くなる。
(どうしたらいいのだろう…。)
具体的な答えが見つけられないまま、鞄からノートを取り出して広げる。
いつも書き込んでいるポエムのノート。
一つ一つ眺めながら、答えに繋がるきっかけがないか必死に考えてみる。
暫く眺めていたが、天を仰ぎながらノートを閉じた。
(ダメだ…。)
机から立ち上がり、箪笥の上に置いてある携帯ラジオを手に取った。
穂乃花の部屋にはテレビもパソコンもない。
携帯電話も持っていない。
唯一の娯楽、それがラジオ。
穂乃花自身、ラジオが好きで北海道にいた頃からよくFMを聞いていた。