晴れ、時々、運命のいたずら
その夜、穂乃花は書店の帰りに購入したレターセットを机に広げていた。
何故、と言う具体的な理由はない。
偶然聞いていたラジオ。
そのラジオから聞こえて来た歌声。
2人組アイドルユニット、Shipの富山愛姫の歌声。
その透き通った歌声が穂乃花の心を優しく包み込んだ。
その素敵な歌声は、何時間経過しても頭の中に残っている。
(富山愛姫さん…。)
雑誌でファンレターの宛先を確認した瞬間から、穂乃花の中に愛姫にお礼を伝えたい思いが込み上げてきた。
ボールペンを手に取る。
(読んでもらえなくてもいい。それでも…。)
一文字ずつ気持ちを込めるようにゆっくりと書き始めた。
『Shipの富山愛姫様。突然のファンレターごめんなさい…。』