晴れ、時々、運命のいたずら



軽井沢町。


すぐ目の前に見える山々は初夏の季節は閉鎖されている。


ペンションやホテルが立ち並ぶ、いわゆる避暑地と言われる場所は先の山奥にある為、駅前はどことなくひっそりとしていた。



「それではみなさん、よろしくお願いします!」



15時になり、プロデューサーの掛け声と共にラジオの生放送が始まった。


公開放送と言っても、所詮デビュー前の卵達の集まり。


立派なホテルの中で、とはいかず、閉鎖しているスキー場の駐車場にテントを立てているだけの簡素な物。


観客も地元民がパラパラと暇つぶしに眺めている程度だった。


愛姫は間近に見える雪の無い広大な草原を眺めながら心の中から湧き出てくる思いを感じていた。


そして、いよいよShipの出番が回ってきた。



「次は、最近では珍しい、2人組のアイドルユニットです。」



「この方達です!Shipのお2人です!」



DJに紹介され、放送ブースに入って行く。


テントの前に設置された、ベンチに座っている数人の観客がパラパラと拍手を送る。



「チッ。」



盛り上がりに欠ける風景に思わず香織は舌打ちをした。


その舌打ちを聞いて愛姫も苦笑いを浮かべる。


DJとのやり取りはスムーズに進んでいった。


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