晴れ、時々、運命のいたずら
「ただいま~。」
「お帰り。ご苦労様。」
エプロン姿の千夏が帰ってくるなり玄関まで迎えに出て来た。
「ちょっと疲れたよ。」
「夕食の用意が出来ているから、先に食べましょ。」
そのままダイニングまで進むと、テーブルの上には、鮮やかなトマトやレタスを盛り付けたサラダ、美味しそうな肉じゃがなどが並べられている。
「ありがとう。こんなに用意してくれて。」
「何たって初めての仕事だったもんね。さぁ、座って。」
料理を乗せているテーブルを挟んでお互い座る。
「軽井沢はどうだった?」
「とっても景色が良くて気持ち良かったよ。」
「そうじゃなくて、ラジオよ。」
注いでもらった冷たい麦茶を一気に飲み干すと、愛姫はニコニコと答えた。
「生放送だったけど、うまく出来たと思うよ。関係者の人も喜んでくれたし。」
「それは良かった。」
「香織や島根さんとも上手く出来たと思うし、私のようなデビュー前のアイドル達がたくさんいて楽しかったよ。」
「聞いてみたかったわね。」
「島根さんが今日の放送を録音したCDくれるって言ってたよ。」
「それは嬉しいわ。」
愛姫の嬉しそうな声につられて千夏も安心した表情を見せる。
「これで、有紗も1人で頑張っていけるわね。」