晴れ、時々、運命のいたずら



手紙を読み続けるうちに愛姫の心の奥から喜びが溢れてくるようだった。



(こんなに…、嬉しい事って…。)



自分が出演したラジオを聞いていて、自分の歌声を素敵だと思いファンレターを書いてくれる。



(穂乃花ちゃん、ありがとう。)



初めてのファンレター。


心から感謝の気持ちを伝えたくなる。



「気持ちは分かりますが、愛姫さんから決して返信しないようにして下さい。」



愛姫の気持ちを見透かしたように島根が伝えてくる。



「どうして…。」



「きりがないからです。」



どれだけ感情を表しても、事務的な返事しかしない島根はどうしても苦手だ。



「あんたの為を思って言っているのよ~。」



白々しく香織が追い打ちをかけてくる。


愛姫は香織を無視してもう一つの真っ白な封筒を手に取った。


同じように裏返してみる。


しかし、住所も名前もなくただ一文字書いてあるだけだった。


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