晴れ、時々、運命のいたずら
「あら、可愛い手紙。穂乃花ちゃんって言うの?長野からわざわざ…。」
「そうなの。すっごく嬉しくてね。」
「穂乃花ちゃんってよく分かってるわね。有紗の歌声が素晴らしいなんて。」
「でもね、島根さんから返事を書くなと言われていて、それが何だか申し訳なくてね…。」
「それは仕方のない事ね。」
穂乃花からの手紙をゆっくり読み終えた後、もう1枚の便箋も広げた。
「ん?これだけ?」
もう1枚の便箋には、来月デビュー、頑張って下さい。とだけ書かれてある。
「そう。封筒にもHとしか書かれてなかったの。」
封筒も渡す。
千夏は受け取った封筒のHを文字を暫く見つめながら、うーんと思わず唸った。
「まぁ、応援してくれてるみたいだから問題ないんじゃないの?」
「そうだよね。」
正直、Hからの手紙に不信感を持っていたのだが、千夏のあっさりとした答えに心が落ち着いた気がした。