晴れ、時々、運命のいたずら
「でも…。」
「ありがとう。有紗は東京でアイドルとして頑張ってくれたらそれで十分だから。」
余り父親の事を聞かれたくないようだ。
その気持ちが伝わってきたので、愛姫は諦めてアイスコーヒーを口にした。
「有紗こそ…。」
今度は千夏が愛姫の目を見ながら尋ねた。
「翔太君とは連絡取っているの?」
「ううん。」
「いつから?」
「…東京に来てから。」
その言葉に千夏は驚いた表情を見せた。
「もう1年も!?」
「うん。」
「どうして…。」
尋ねてくる千夏を安心させるように笑顔を見せた。
「約束したから、迎えに来てもらうって。信じてるから。」
「香川に帰ったら、何か言っておこうか?」
それでも不安そうな表情を浮かべている。
「大丈夫。」
愛姫は、鞄の中に手を伸ばすと、今度は黄色いお守りを取り出して千夏に見せた。
「これがあるから、本当に大丈夫。」
「これは…、こんぴらさんの幸せの黄色いお守り。」
「前にも見せたと思うけど、最後の日に、このお守りを貰っているから。何かあってもこのお守りが傍にいてくれるから…。」
その言葉に千夏もほっと安心したようだ。
「そうだったわね。こんぴらさんに守ってもらっているなら大丈夫ね!」