カラダ探し~第三夜~

そう叫びながらも、部屋の奥に歩を進めた私は、棚に置かれている工具の中から、武器になりそうな物を探した。


時間がない。


武器を持ったとしても、赤い人相手に役に立つかも分からない。


だけど私は棚の工具を漁り、鉄パイプのような物を手に取って握り締めた。


振り返っちゃならないのに……この部屋には移動するスペースがほとんどない。


「あーもうっ! 振り返らなきゃ良いんでしょ!!」


このどうしようもない状況に私は、左側にある棚に背中を付けて、ドアから赤い人が入って来るのを、鉄パイプを構えて待った。


どうしよう、怖いよ!


工業棟の職員室でもそうだったけど、どうして私は追い詰められてしまうのだろう。


ロッカーの中といい、こんな倉庫みたいな部屋といい、逃げる事ができないじゃない!












「キャハハハハッ! ……ハアッ! お姉ちゃん、遊ぼう」














部屋の中に入って来た赤い人が、グリンと首を回して私の方を向く。


その目ににらまれて……まるで空気が刃物のように、するどく私に襲いかかる。
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