カラダ探し~第三夜~
気になるけど、振り返る事ができない恐怖と、まだ隣の教室のドアに手が届かない絶望感に襲われる。
もう少し……もう少しで教室に逃げ込める!
泣きそうになって伸ばした手が、ドアに触れそうな距離まで近付いた時。
すでに、赤い人は私の目の前のドアに先回りしていて……。
目が合って、私は死を覚悟した。
ドアに手が触れて、開けようと思って力を入れるけど……空振りしたのか、ドアは開かずに。
私はその勢いを殺す事ができずに、肩からそれにぶつかって、ドアと一緒に教室の中に倒れ込んでしまったのだ。
「いたっ!」
小さく声を上げたけど、赤い人がいたのに殺されなかった。
それだけは運が良かったと言える。
だったら、幸運が続いてるうちに、早く教室の前に移動しないと。
そう思って、手を突いて立ち上がろうとしたけど……私はそれができずに、バランスを崩して顔から倒れてしまった。
どうしてこんな時に……いや、それよりも左手で支えた感覚がなかったような……。
何かがおかしいと感じて、左手を見てみると……。
「えっ!? えっ!? 何で!? どうなってるの! どこに行ったの!? 私の腕!!」