カラダ探し~第三夜~

そこまで言われて、私はようやく昨日の武司さんの行動の意味を理解した。


何かおかしいと思ったんだよ。


龍平に負けたからって、包丁まで持ち出してさ。


私まで殺した武司さんの意味不明な行動。








「ま、まさか……この世界ってのは」









「間違いないわね。昨日、柊さんと池崎君が殺されたのは、ただの逆恨みじゃないわ。この世界は……袴田武司の意識よ」











よりによって……武司さんの意識って。


明日香さんとか高広さんだったら、何とか見逃してくれるかも……なんて思ってたけど、武司さんじゃあ期待できない。


実際、私は殺されたわけだしね。


「この世界は、袴田君が強く願って生まれたの。柊さんが見た、記憶の断片の中にいた誰よりも強くね」


美紗が言った言葉で、私は起きる直前に見た夢を思い出した。


あゆみがいなくなって、学校を休んでいたとか。


元の世界ではあゆみは死んでいて、この世界では生きている事を考えると……誰よりもそれを望んでいたのは、やっぱり武司さんなのかな。
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