カラダ探し~第三夜~
最終日
苦しい……。
昨日の夜、赤い人に殺されて、目覚める前にまた夢を見るのかと思ったけど、今日はそうでもなくて。
もう朝になっていて、私はまぶたを開いて天井を見ていた。
何が苦しいって、赤い人に殺された事もそうなんだけど、なぜ私が昨日、龍平を抱きしめなきゃならなかったのか。
いつもの私なら、たとえ殺されると分かっていても、龍平なんて見捨てて、階段を転がるように下りて、何とか逃げようとしていたはずなのに。
事実、龍平が落ちて来るまでそう思っていたし、それが龍平の願いだから生き延びてやるって思ってたのにな。
だけどあの時、私の手を握り返してくれたのがうれしくて、離れたくないって思ってしまった。
「ふぅ……今日で最後か」
身体を起こして、部屋の中を見回すと……今日は美紗はいない。
必要ないと感じたのか、それともただ来なかっただけかは分からないけど、後で会うから今、いなくても問題じゃないんだけどね。
それにしても……私が龍平なんかをねぇ。
バカだし変態だし。
胸が苦しいのは、龍平が気になってるからかな。
でも、私はひとつの決意を胸に秘めて、ベッドから足を下ろした。
龍平だけは、絶対に好きにならない、と。