カラダ探し~第三夜~

突然声をかけたせいか、ビクッと身体が震えて、慌てて振り返る美雪。


「る、留美子……集めたんだよね? じゃないよ! 踊り場でふたりが抱き合って死んでるし……」










見られたんだ。








何だか恥ずかしいけど、私と龍平を見たという事は、すぐには殺されなかったんだろうな。


「ま、まあ良いじゃない。たぶんそう見えただけだって。私が龍平と? 何かの間違いだよ」


そんな事は知らないという表情を作って、笑って見せるけど……美雪はジッと私の目を見て、口を開いた。


「留美子、嘘つくの下手だよね。いつもだったら怒るはずなのに、笑ってるんだもん」


……選択を誤ったか。


やっぱり、「何!? 私に抱きついてたわけ!? あの変態めっ!」とか言っておくべきだったね。


「何でも良いじゃない。どうせ……今日が終わったらいなくなるんだし」


それを言葉にするだけで、また胸が苦しくなる。


目の前にいる美雪でさえ、カラダ探しが終われば死んでしまうから。


元の世界に戻ったら、私の今の記憶はどうなるのかな?


この記憶を持ったまま元の世界に戻るのか、そうじゃないのか。
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