学園マーメイド


「どうだった?久々の学校は?」


夏休み明け初日の夜。
相変わらず陸嵩は夜中になるとこうして私の部屋に尋ねてきては朝まで一緒にいる(前に夜這いだと言ったら怒られた)。
ベッドの中で二人、今日あった出来事や他愛のない話をするのが日課になっていた。


「大会の表彰式って、学校でやる意味がないと思った」


始業式の始めに、夏に行われた大会の表彰式を思い出し口を尖らせて言う。


「えー、俺は好きだけどなあ。注目されるのって好き」


学校の表彰台に上ったときの子供のような笑顔で笑う彼。
夏の下旬にあった大会で、私は平泳ぎとメドレーで優勝し、陸嵩は3000Mで優勝し、400Mリレーで2位を獲得した。
雪兎は男子バスケで2位、光は女子バスケで5位を獲得。
それぞれ優秀な成績を収めてたので、表彰されるのは当たり前なのだが、大会会場でも表彰されるのに学校でももう一度表彰するのはどうかと思う。


「そう言う精神があって羨ましいね」
「あ、なんか馬鹿にした言い方だなそれ」
「いやいや。うん、いいよね」
「なんだそれ」


ケラケラと笑い合う。
この時間は好きだ。
最初は本当にこんな事を続けていくのだろうかと不安を抱いていたが、今となっては日課や習慣に近くなってる。
失くしたくない、とそう思う。


「蒼乃の今度は大会いつ?」
「今度は冬かな。一応本命の大会」


そう言うと彼は足をバタバタとさせて、またまた子供のように目をキラキラさせて笑う。


「じゃあじゃあ!俺応援行ってもいい?」


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