学園マーメイド
中学当時、ごみ収集場所が裏庭と遠い所にあった。
梅沢はよくそこでカツアゲや暴力を振るわれ、虐められていた。
その日も同じように。
『お前の喋り方ムカつくんだよ』
『もう喋るな、ばあか』
理不尽な話だとは思ったが、黙っていればすぐ終わることを梅沢は学習済みだった。
怯えた瞳にイラっときたのか、一人の男が梅沢の頭をグーで殴る。
あまりの痛さに梅沢は小さく悲鳴をあげた。
『イライラすんなぁ』
と、そこへやってきたのが園田蒼乃。
ゴミ箱を片手にすたすたと、その虐めの現場を通り過ぎて行く。
あまりの無関心さに、そこにいた男子は目を点にした。
蒼乃はもくもくと無言のまま、ごみ収集場所にゴミを入れる。
全て入れ終わるとまた、その虐めの現場を通り過ぎようとした。
が、一人の男子によって静止される。
『ちょ、お前!このこと先公い言うなよ』
無言の蒼乃。
『園田は冷たい女で有名だからな、そんな事しねえって』
『この現場見ておいて、何も言わねえのもおかしいよ』
『超ブリザード!』
蒼乃は笑い出す男子を横目に、冷ややかな視線を送る。
そしてチラリ、と梅沢を見ると再び男子に視線を向けた。
『な、なんだよ』
冷たい視線に耐えられなくなったのか、男子が声をあげる。