学園マーメイド
Breath...12
Breath...12
「……怖い」
私の唇は震えていた。
目の前に広がる大好きだった水面を眺めて震えていたのだ。
「…………」
そんな私を川上が悲痛な瞳で見ていた。
溺れかかった日から数日。
川上に犯人が誰かと聞かれて、私は首を振った。
“分からない”と首を振った。
本当は分かっていた、人物は見てないが誰なのかは予想が付いた。
でも言えなかった。
それが彼女の為なのか、自分の為なのか分からない。
ただとっさに聞かれて出たのがその言葉だった。
しかもその犯人を問いただす時の川上の顔が鬼の形相で、ますます口を閉じなくてはと言う気持ちにさせたのだ。
そう、そして数日。
私は昨日と同様、水面を前にしてただ震えることしかできてない。
「泳ぐ気にもなれない?」
川上が優しい声を上げる。
それに頷いた。
あの日から、水が恐怖の対象に変わっていた。
死を近くに感じた次の日、水に入った瞬間足がつり、呼吸が乱れ、ここから逃げ出したい気持ちにさせた。