学園マーメイド
「ずっと……、伝えたかった」
「…………っ!」
陸嵩の息を飲む音が耳元で聞こえた瞬間、私は強く陸嵩に抱きしめられていた。
ぎゅう、と咽るほど強い力だったが抵抗はしなかった。
彼の体が震えていたから。
「……嘘、じゃない?」
震える声が言う。
「嘘なんて言わないよ」
「……俺のこと好きなの……?」
「うん、好きだ」
「俺も、俺もね!」
抱きしめられる力が弱まり、体を引き離される。
陸嵩の顔が近くにあり、その顔は真っ赤に染まっている。
お互いがお互いの瞳に映っている。
ああ、こんなにも愛しいと思える心が私にもあったか。
こんなにも……、愛しいと。
「俺もね……」
どちらかともなく顔の距離が縮まっていく。
自然に瞼が落ち、視界が真っ暗になる中で感じた彼のぬくもり。
唇に落ちた暖かい熱。
微かに震えていたそれは柔らかく優しく、そして甘い味がした。
瞳を開けると、鼻先と鼻先がくっついていて、でも離れるなんて事考えなくて。
その距離のまま陸嵩の瞳が私を見て笑う。
「大好きだよ」
私の瞳には涙で頬を濡らす陸嵩が、陸嵩の瞳には涙で頬を濡らす私が、嬉しそうに微笑んでいる姿が映し出されていた。