学園マーメイド
「え、知らなかったの?」
寮に帰ってからの出来事だった。
ベッドに二人寝転がり、他愛ない会話をしている途中。
私は陸嵩から衝撃的な言葉を聞き、固まっていた。
「冬休みの1週間の間は、学園および寮を封鎖。……先生も言ってたし、入学式でも……いろんな所で言われてるよ」
そう、衝撃的なこと。
それはあと数週間後にくる冬休みの話だった。
この学園の冬休みは1週間と短く、その間の部活動は各自で自主練習、とここまでは良かったのだ。
だが、その冬休みの間、学園と寮の点検等を行ったり、業者が来て大掃除をするとかで、完全に封鎖するそうなのだ。
つまりは寮にはいられない。
……“家に帰れ”ということだ。
「…………」
黙りこくる私の頭を陸嵩が遠慮がちに撫でた。
あの家に帰ると言う事は、私にとっては一大決心で。
寮があるからと、わざわざ遠く離れた(かろうじて通えるが)この学園に入学を希望したのだ。
そして3年間、あの家には帰らないつもりだったのだ。
理由は簡単。
兄はもういないから。あそこは私にとって帰る場所ではないから。
……家族ではないから。
それが見事、陸嵩の言葉によって打ち砕かれた。