学園マーメイド



自分とは関係ないことで傷ついた人たち。
私のために涙を流してくれた人たち。
何度も何度も、手を差し伸べて笑ってくれた人たち。
その人たちを巻き込んだことは……、許せない。



「陸嵩にも、梅沢くんも、雪ちゃんにも……、光が関係してないとは言えないんだよ」
「……っ」
「あたしが傷ついたことで、同じように傷ついていた。……陸嵩は身体も傷つけた」



ずきりずきり、と心臓が痛み出した。
これ以上言えば、光をもっと傷つけることは分かってる。
でも言わなければずっとずっと、この事を後悔する。
ずきりずきり、心臓が痛みを増した。



「……最低だよ、光」



大きく光の肩が揺れる。
そして私の視界も大きく揺れた。
目頭が熱い。



「関係ない人を傷つけて……。それ以前に嫌がらせをする事自体、最低だよ」



視界が、滲む。
握った拳が痛い。
どうしてこんな風にならなくてはいけなかったんだろうか。
問いかけても答えてくれる人なんていない。
ああ、もうお終いだ。
部屋で語り明かした夜も、お菓子を片手に笑い合った休みの日も。

――――私が壊す。



「光」



震える声で呼んだあと、沈黙を待って光が顔を上げた。
涙でぐちゃぐちゃな顔は睨むようにして私を見た。
その瞬間、私の瞳からツゥーっと一筋の涙が頬を流れていった。



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