学園マーメイド


「あんた午後から練習するんだろ?俺もそんな暇人じゃないから」


よく言うよ、あれだけ部活休んで水泳見に来ていたくせに。
と、敢えて言わなかったが内心では口を尖らせて罵っていた。
だが確かに生死をかけた戦いを先延ばしにするのは、心が耐えられないと思うし、何より練習にも身が入らないだろう。


「…じゃあ、部屋行って着替えてからすぐに行くよ」


そう言うと、此方を見ないままバンビは小さく頷いて無言で談話室を出て行った。
小さな溜息を吐いてその後を追う。



正直言うと、怖い。
勝負に負けを考えるなんて自分らしくないが、競技が陸上とあるだけにそう思うのは仕方がないことだと思う。
でも、負けたくはない。否、負けてはいけない。
自分のプライドにかけてこの勝負、負けられはしないのだ。


――――『長距離と短距離では右に出るものいないって話』


ふいに光の言葉が頭を横切ったが、今更気にしてなどいられない。




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