学園マーメイド
そして先の二人と同じ反応を見せる。目を真ん丸くして、口が大きく開いている。
いや、二人より確実に大きいリアクションだ。
「え!あ、え?……な、なに?蒼乃?」
「今晩は」
「いや、今晩はじゃないよ!……え?なにこれ、ドッキリ?」
見事な慌てっぷりを見せる陸嵩に思わず噴出して笑ってしまう。
暫く混乱して慌てふためいていた陸嵩だったが、二人が中に入るように進めてくれて、穂波家の敷居をまたいだ。
居間にはコタツが出ていて、その上には今まで食べていたのだろうみかんやら、お菓子の屑が散乱していた。
こう言う一般的な家庭の家に入ったのはどれくらいぶりだろうか。
まあ、雪兎の家に上がらせてもらっているからそう日にちもたっていないけど、それでも家庭的な雰囲気は心を和ませてくれる。
「まあ座んなよ。あ、俺は栄志(えいし)。陸の2個上」
コタツに足を潜らせながら片手をあげる彼は、陸嵩の兄らしい。
「あ、はいはい!俺は啓志(けいし)、陸兄の1個下ね」
そして続くようにコタツに潜りながら声をあげたのは、陸嵩の弟らしい。
この流れでは自己紹介なのだろう。
私もコタツに足を潜らせながら片手をあげる。
「はい、園田蒼乃です。陸嵩とは同じ学年の隣のクラスの女子です」
「ちょ、ちょっと待て!兄貴たちは気を利かせて二階にあがってくれるとかしてよ」
陸嵩のツッコミが入ると、二人は揃って口を尖らせた。
「兄として心配してやってるのになんだその言い草は!」
「ま、そう言ってながら単に興味本位なんだけどね」
「だって、初めてじゃん?陸に女の子が会いに来るの」
「そうそう!初めて…………あ!ああああ!も、もしかしてさ……、陸兄の、彼女?」
そう言われて顔を赤くしたのは……、陸嵩だった(なんか違う気がする)。