学園マーメイド


興味津々な二人は身を乗り出して私に回答を求めてくる。



「まあ、はい。一応」



頷いて肯定する。まだ“彼女”という響きはくすぐったいが、いいはずだ。
すると起こる大歓声(歓声と言うよりは叫び声に近い)。
次々に声を発している。



「栄兄!陸兄にかかかか、彼女が出来てたよ!」
「え?本当に?陸に言わされてるとかじゃなくて、まじで彼女?」
「ええ、はあ、まあ」
「ちょ!蒼乃も一応ってのと、そのやる気のない返事なに?酷いよね!それと兄貴たちも煩いし、失礼だよ!」



息を切らしながら捲くし立てた陸嵩の顔は真っ赤だ。
噴出してしまうのは私だけではなかったらしい、私を入れて3人とも噴出すタイミングが一緒だった。
笑い声が部屋に充満する。



「ああ、もうヤダ」



陸嵩の落胆する声が聞こえ、また笑い声をあげる3人。
それから暫くは4人でコタツを囲み、初対面だというのに話しは尽きなかった。
と言っても私は専ら聞いているか話題に乗っかるかしかできない。
話題性が豊富なのは陸嵩と同じだ。

2人と話していてよく分かった。陸嵩がどうしてこんなにも暖かいのかとか、今までの行為とか。
少しだけ彼の原点を見た気がした。
暖かく笑顔のあふれる場所。
人の集まる場所。


私が住んでいるあそことは、まったくの別世界。





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