学園マーメイド
それから“もっと話したい”と言う二人の制止を振り切った陸嵩は私を二階の自室へと案内してくれた。
「どうぞ」
扉の先には当たり前だが陸嵩の部屋が広がっていた。
よく知らないが陸上選手のポスターが大きく張られていたり、トレーニング用の器具が置いてあったりと、雪兎と同じような感じだ。
「あ、そう言えば両親は?もう暗くなって来てるし、あれだったらすぐ帰るから言って」
「二人はおせち料理の買い物言ってる。ついでにじいちゃん家行ってくるらしいから、遅くなるらしいよ」
「そうなんだ」
適当に座って、と促され黒いクッションが敷かれている床に腰を下ろす。
陸嵩も近い位置に座った。
「ごめんね、煩い兄と弟で」
似ているね、なんて言ったらまたむくれてしまうだろうか。
雰囲気が正直に似ていると思ったのだ。明るく、誰をも寄せ付けてしまう優しい色のオーラを持っている。
自然と顔に笑みが出る。
「そんな事ない。楽しかった」
「そお?……確かに女の子を家に上げたことなかったし、びっくりされて当然なんだけどさ」
照れたように俯いて頭を掻く姿。
「でも、彼女を紹介できて良かったよ!」
その後に見える、彼の屈託のない笑顔。
そう、私はこの顔が見たかった。