学園マーメイド
やっぱり、私は誰かに頼るって事は迷惑がかかるって言う方向にしか思考がいかない。
私は首を振った。
「こっちこそ。……ただいきなり言われて戸惑ってるだけだと思うんだ。だから、大丈夫」
大丈夫じゃないからここに来たくせに、と心の中で誰かが呟いたのけど聞かない振りをした。
息を吐いて笑顔を作る。
「顔見たら安心した。帰るね」
これは本当だ。
陸嵩の顔と声を聞いただけで心の奥が軽くなったし、安心もできた。
立ち上がろうとすると、陸嵩がぐっと手に力を入れてきた。
「……どした?」
「大丈夫じゃないと思う」
「え」
「大丈夫じゃないよ蒼乃。俺、このままの蒼乃を家に帰せない。今日、泊まってってよ」
また突拍子もなく何を言い出すんだ。
びっくりして瞬きを繰り返してしまう。
「いいよ、気をつかわなくて」
「違う、俺が嫌なの!……これ決定ね、泊まってくこと!」
ぴしゃり、と言い切られてしまい、その迫力に苦笑い。
何度か説得を試みてみたが、結局泊まることが決定してしまった。
更には両親が豪雪のため、祖父の家から帰れなくなってしまったという連絡も(どれほど山奥に家があるんだ、と突っ込みたくなってしまったが)。
これは泊まるしか選択権がないようだ。