学園マーメイド
「んでね、その日に創立際って言うのを開催するんだって」
まあ、100周年だから祝って当然だとも思うが。
出来れば内輪だけで収めてもらいたいな、なんて思いもきっと打ち砕かれるだろうな。
「なんか盛大らしいよ。準備とかは生徒の授業を削って行うって言ってたし、一般公開もするんだって」
ああ、ほらね。
それに授業を潰してまでもお祝いしなくてはいけない行事なのかな。
どちらかというとイベントは苦手だ。
だけど、今この時は悪くないかなって思ってしまう。
隣にいる陸嵩が楽しそうに微笑んでいるし、少年のように目がキラキラと輝いている。
見るからにイベント好きなんだろう。
――――ズキン、心臓の奥が軋んだ(ああ、最近はずっとそう)。
「楽しみだね」
痛みを隠すかのように目線を逸らし言う。
「だね!あ、もちろん、当日は一緒に回ろうね」
にこり、と眩しい笑みを浮かべた陸嵩。
――――ズキン、心臓が音を立てる。
「うん」
貼り付けた笑顔はぎこちなかったに違いない。
ありがたい事に、気分上昇中の陸嵩はそれに気づかなかった。
――――ツキン、ツキン。
一定の間隔で動く鼓動と一緒に痛みが伴う。
だけど、やはり私の生きる場所はあそこしかなくて。
答えは決まっていた。口から出てくるのはどうでもいい内容ばかり……。
時間だけがただ過ぎて、いつも頭は陸嵩のことばかり。
私は変わった。もちろん、いい意味で。