学園マーメイド
陸嵩の反応が当然だと思ったのか、二人は黙り込んだまま解散となった。
それからすぐ創立際とやらの準備が始まり、学園は慌しく動いている。
そして、アメリカ行きを告げてから陸嵩との接触がかなり減った。
風邪を引いたから、と言われ夜一緒に寝ることがなくなり、私のクラスに陸嵩が顔を出してくれることもなくなり、終いには昼食も寮に帰って食べる始末。
誰の目から見ても、避けられているのは確実だった。
私のアメリカ行きを認めてくれた雪兎や梅沢からは励ましの言葉や、日常で声をかけてくれたりしたが……、心の中がポッカリと開いた穴は埋まることはなかった。
あの時笑った彼の顔が忘れられない。
「はぁ……、は、はー……」
水面から顔を出し、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
満たされる場所のはずなのに、いつもよりも安心する余裕が少ない。
原因ははっきりしているけど。
「創立際、進んでるか?」
声をしたほうを見上げると川上が笑っていた。
「……どうだろう。あんまり参加してないんだ」
今はそれどころじゃないのもある。
「俺、結構楽しみ。出し物とかあるし、たぶんお客さんもいっぱいくるだろ?」
「ああ、一般公開するって言ってた気がする」
私にとって大事なのは創立際でも、一般公開でもない。
彼との距離が遠くなってしまったことが今一番重要事項だ。
関係を修復しようと思っても、修復の仕方が分からない。
何度か陸嵩に話しかけてみたものの、結果は決まって“今忙しいから”と言われるだけ。