学園マーメイド
「どうって、……なんで?」
「あー、あいつ週に1回はメールくれるんだよね。くだらねえ日常とか、友達の話とか。だけど、3週間経ってもメール来ねえからさ、なぁ?」
「そぉそぉ。どうしたんだろーってね。これから会いに行こうとは思ってるんだけどさ」
苦笑いで話す二人の顔を見て、心臓が痛まない分けなかった。
陸嵩を思い心配する二人の顔。
“私の所為だ”、そう心の奥で私が呟く。
男にしては引っ張りすぎだとか、もっと軽く考えろとか。
昔の私ならそう考えて陸嵩に口にしていても可笑しくはなかった。
だけど、どれだけ彼が大事か。
どれだけ、彼を私が必要としているのか、知ってしまったから。
もうあの頃のようには戻れない、考えることはできない。
私は二人の顔を見れず俯いてしまう。
「……あいつさ、昔から人を気遣うのが上手くてさ」
栄志の声に胸がぎゅっと締まる。
「陸嵩から聞いた?異母兄弟だって」
「……うん、聞いた」
父親の浮気相手の子供なんだ、と告げられた時は思考回路が停止した。
そう昔のことでもないのにどこか遠く感じる。
「辛い時とか、悲しいとき、無理して笑うんだよ。最初は本当に笑ってるのかと思ったけど、次第に“ああ、これはあいつの精一杯なんだって”思うようになった。笑顔を作って、その後に平気な振りをして俺たちと接してさ」
「……陸兄って凄いなって、俺思ったもん」
それは私も思う。
いや、それに関してだけじゃない。
何に関しても、陸嵩には驚かされたり感心させられたりした。
その度に私はきっと彼に魅かれていたんだと思う。
瞳の奥に眠る綺麗な色も、口から出る優しい言葉も全部。