学園マーメイド
「……もし、陸嵩が人を避けるような事があれば?」
ゆっくりとした口調で二人の思い出話を区切る。
二人は顔を見合わせて少し考えている。
そして栄志がふわり、と笑う(陸嵩に似ている)。
「よほど信頼の置けている人物か、素で甘えられる人だな」
確信を持って言える。
私が彼を必要として、彼も私を必要としている。
……嫌われるのが怖いからと言って、逃げていてた私が一番悪い。
陸嵩が呼んでいる。
私を、呼んでる。
私は机の下でゆっくり強く、自分の拳を握った。
そして立ち上がる。
「ごめん、陸嵩に会いに行かなきゃ」
ありがとう、言葉に出さず笑顔を見せると彼らも笑った。
きっと何が原因かなんて分かっていたのだろう。
詳細は聞いてないにしろ、私となにかあったと思ってこうして会いにきたんだ。
……兄弟想いの二人がいて陸嵩、幸せ者だね。
私は会釈をして二人に背中を向けた。
「蒼乃ちゃんって直球だね」
「ま、陸も直球だからお似合いなんじゃん?」
安心した声を向けた背中に感じながら、走り出す。
陸嵩の元へ。