学園マーメイド
会いたい、会いたい、会いたい。
何が口から出るかは分からない。
あってすぐ、また酷いことを言い始めるのかもしれない。
でも、それでも会いたい。
会って顔を見て、自分の今の気持ち全部、全部ぶつけたい。
悲しませる結果に終わっても、……いいや、終わらせないためにも。
陸嵩に、会いたい。
走って、走って。
いろんな場所を回った。
陸上部の部室、グラウンド、クラス。
他にも陸上部員や、クラスの子に聞いたけど(私に話しかけられたのに驚いていた)答えは決まって知らないばかりだった。
一体どこへ?
走っても、走っても陸嵩の姿は影も見せない。
こういう時、広い校舎を恨んだりもする。
どれくらい走り回っただろうか。
冬なのに額には汗が噴き出て、息も荒い。
「そ、園田さん」
壁に寄りかかり、息を整えていると廊下の奥から梅沢が向かってくる(人通りは少ない)。
「どしたの?」
「ご、ごめんね何度も。ラビ先輩に頼まれたものがあるんだけど、何処にいるか知ってる?」
そう言えば今日此処に来て雪兎に会っていない事に気づく。
私は首を振った。
「ごめん。あたし一回も会ってないんだ」
「そ、そっか」
「あー、陸嵩は何処にいるか知ってる?」
陸上部での催しも確かあった筈だ。
少し期待しながら聞いてみると、梅沢は以外にも驚いた顔をした。
「バンビ君?」
「ん、そう」
「さっき一回会ったきり……、わ、分からないや」
残念ながら梅沢も知らないようだ。