学園マーメイド
もう言葉はいらない。
至る所に君を感じることができるなら、もうそんなもの必要ない。
私は何度も頷いた。
……それだけで伝わるだろうから。
……その言葉を聞きたかったから。
ああ、そうだね。
きっと君の支えがなければきっと私は泡になる。
泡になって消えてしまうのが、今はとても怖い(君に会えなくなるのがとても怖い)。
だから、だからさ、いつだってそこに。
気がつけば隣に。
思い出せば近くに。
君の存在を感じていたいから。
悪戯ぽく笑うと、彼はゆっくりと私の唇に自分のを重ねた。
何度も何度も繰り返し。
まるで童話の中のお姫様になった気分。
キスをする陸嵩は童話の中の王子様みたいにキラキラとオレンジ色に光っていた。
ああ、やっぱり怖いよ。
「……泡になるの、怖いよ」
泡になんかさせないよ。
そっと呟かれた言葉に零れたのは紛れもない心の雫だった。