学園マーメイド
こうしてなんとも言えない不思議な形でバンビ、ではなく陸嵩との友情が成立した。
暫く他愛もない話をしていた所で、光が帰ってきてそれはもう地と天がひっくり返ったかのように驚かれた。
どう説明しようか迷っていたらケロリとしたバンビが、友達になったんだ、と爽やか笑顔で言うと、それまた嘘のように光は嬉しそうに笑ってた。
「良かったねえ!蒼乃に男の子のしかもバンビ君みたいな友達が出来て!」
「え、あ…うん」
なんと言ったらいいのか。
いや、友達には変わりはないのだ。友達になる前のあの一こまさえなければ。
「あ、あたしは光。神崎光!よろしくねバンビ君」
「うん、よろしく」
友達になるまで随分時間を費やした私と違って、こんなに簡単に友達になっている二人をみて複雑な気持ちと言うよりは、驚いた。
もしかしたらさっきの一こまも光ならすんなりと対応できたのかもしれない。
そう思うと、陸嵩に悪いことをしたな。
「とりあえず、荷物置いてくるね」
にこり、と笑って隣の部屋へと帰っていく光の背中を見届ける。
パタリと扉を閉められると、隣から小さな溜息が聞こえる。
もちろんそれは陸嵩のもの。
どうしたのか、と尋ねる前に陸嵩がこちらに向かって手を差し出した。
「携帯、貸して」
唐突だったが彼の手に携帯を渡す。