学園マーメイド
Breath...07
Breath...07
ミーンミンミンミーン―――…。
夏に定番と言える蝉の叫び声が何処へ行っても聞こえ、暑苦しさを増す。
そんな中で私の背中には小さな悪寒が走っていた。
パラパラ、バラバラ、いくつもの音が靴の中から手に落ちる。
いつかこんな日がくるだろうとは思っていた。
夏休みに入って初日、靴の中には大量の画鋲。
大量だけあってそのまま靴に足を突っ込むなんて愚かなことはしないですんだが、それにしてもこの量は多い。
両方の靴にざっと50個の描画が敷き詰められていた。
「……よくもまあ……」
それは手の中でギラリと此方に針を向ける。
恐ろしく尖った先端は、これを仕掛けた人たちが私に向けた気持ちなのだろう。
鋭く痛々しい。
水泳部の人間だろうか…、だがそう思って詮索してもなにも意味はない。
犯人を捜したところで何も言う事はないし、自分にとってなんの障害にもなっていないからだ。
靴から全ての画鋲を取り出し、刺さないように手の中に納める。
そしてその靴を履いて部室へと足を向かわせた。