学園マーメイド
Breath...02

Breath...02



翌日、いつもの様に片手に本を片手にミルクココアを持ちながらカフェテラスで至福の一時を過ごす。
昨日の教訓を生かし、光にはちゃんとメールで“カフェテラスにいます”と他人行儀のように送った。
光が来るまでの時間、こうして日向の下で心地よい気分で待つ。


「水泳部のマーメイド、園田蒼乃って君だよな?」


そんな時間をかき消す嵐の様に現れたその声。
顔を上げると逆光で、光る茶色の髪の毛だけで顔は黒く分からない。
正直びっくりだ、学校で話しかけてくるのなんて先生か光以外いないと思っていたから。


「マーメイドって言うのは美化しすぎだけど、園田蒼乃はあたしです」
「やっぱり?でも、以外。もっと厳ついかと思ってたけど案外華奢なんだ」


声の高低からして男だと分かる。
フサフサとした茶色の髪が反射して目を細めると、それに気づいたように本来光が据わる椅子に腰をかけた。
そこでやっとその人物の顔を拝見。
光よりも明るいフサフサとした茶色の髪の毛に真ん丸い二重の瞳。
見るからに知らない人が目の前にいる。
太陽の光が茶色の髪を照らす。


「その髪、地毛?」


光は生まれつきって聞いたけど、こんなに明るい茶色は学園内でも珍しい。
素朴な疑問を投げかけると、その人はきょとんとした顔をしてすぐに笑った。





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