学園マーメイド

そして巡ってきたチャンス、――――…彼女は雪兎を避けるべき対象として認識していた。
顔を見た途端、伝えたい気持ちは広がって今なら言えると決意を決めたけど、彼女はそうじゃなかった。
過去をないものとして、……雪兎自体をない物として考えていた。
当然と言えば当然の結果なのかもしれない。だけど、それで“はいそうですか”と引き下がれるほど心は単純に出来てはいない。
雪兎は自嘲的な笑いを漏らすと、陸嵩を見た。
そしてしっかりとした口調で話し始める。



「情けないだろ?でも情けなくてもいい。……俺には償わなきゃいけないもんがある」
「…………」



潤ませた瞳を拭い、陸嵩も雪兎を見る。
蒼乃の過去を知ったからこそ、更に彼女を支えたい気持ちが強くなる。



「先輩、大丈夫ですよ。……蒼乃はもう一人ぼっちじゃないじゃあないすっよ。俺も先輩も今は傍にいるんだから」



そう言った言葉に、雪兎は小さく微笑みを落とした。


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