キミと 夜空と 星空と。


 彼女の体を強く、抱きしめる。

 細い体を、ただ、強く。


彼女が今にも、消えてしまいそうに思えた。


幻を抱いているような、そんな気分だった。


だから・・・コレは現実なのだと、自分自身で確かめたかった。


あまりにも強すぎたのか、天音さんが小さく「痛いよ」と呟いた。





「俺が・・・本当に好きなのは・・・天音さんだけだから。

俺は・・・もう、天音さんしか見えてねぇから」





そこでようやく、腕の力を緩める。

そして今度は、優しく彼女を抱きしめた。


< 114 / 183 >

この作品をシェア

pagetop