キミと 夜空と 星空と。
天音さんの髪から、爽やかなシャンプーの香りがした。
その瞬間、自分が何を考えているのかも、何をしているのかも分からなくなっていた。
巧の言葉なんて、いとも簡単に吹っ飛んでしまった。
気がつけば、俺の腕の中には天音さんがいた。
強い力で、彼女をギュッと抱きしめていた。
「・・・睦月君・・・??」
あぁ、そっか。
俺は・・・怖かったんだ。
今更になって気がつく。
彼女をいつかは失ってしまうという事実が。
怖くて怖くて、逃げ出したくて。
それでもどこにも逃げ場はなくて。
彼女をさらってどこか遠くへ行ってしまいたくて。
・・・だけどそれが出来ないことを知っていて。