キミと 夜空と 星空と。
「あ、そうそう。そこは宮崎に任せとくからいいんだよ」
携帯電話を右耳に押し当てながら、俺は人ごみの中をすり抜けるようにして歩いて行く。
最初は似合わなかったスーツも、今ではだいぶ着こなせるようになってきた。
俺は、28歳になった。
大学も卒業して、今は親父の会社で手伝いをしている。
天音さんとは・・・あの日以来、ずっと会っていない。
不意に、1人の女の子とぶつかった。
大きなランドレスを背負った、小学校1年生くらいの、小さな女の子。
「ごめん!!大丈夫??」
しゃがみこんで、女の子の顔を見ながら俺は言う。
女の子が、少し嬉しそうにニコリと笑った。
「大丈夫だよ、おじちゃん」
すべての時が、止まったかと思った。
見覚えのある声、その顔。
俺は思わず、女の子に尋ねる。