キミと 夜空と 星空と。
「・・あるよ」
彼女は静かに、だけどはっきりとそう言った。
雨音が聞こえてくる。
さっきまでは全然気にならなかったのに、今では鬱陶しくてたまらない。
「・・・今の、旦那さんとですか?」
彼女は、少し迷った後、首を振った。
「・・・あの人と、出会った後・・・狂おしいほどに、スキになった人、いる。でも、十年も前の話」
寂しそうに、天音さんが笑った。だけど、その笑い方が彼女の美しさを余計に際立たせる。
「でもね、その人には奥さんも子どももいた。
だから、身を引いたの。
私は・・・彼に幸せになってほしかったの」