キミと 夜空と 星空と。
彼女が、愛した男の人は・・・どんな人だったんだろう。
十年経った今でも、彼女にこんな表情をさせる人は、今どこで、誰とどうやって暮らしているんだろう?
うらやましい。
素直にそう思う。
そしてそれと同じくらいに・・・悔しくて、大きな嫉妬を覚えてしまう。
「旦那さんは・・・その人の事知ってるんですか?」
「知らない。彼は、何も知らない」
天音さんはもう一度寂しそうに微笑むと、俺から視線を話した。
俺の知らない、遠い誰かの事を思ってるんだろうか?
彼女の手が、俺の頭に伸びる。
彼女は優しく、俺の頭を髪を撫でた。
柔らかくて、安心してしまいそうになるくらいの優しい手だった。