キミと 夜空と 星空と。


 2人で、映画館の中に吸い込まれるように、入る。


「・・・すごく、空いてるね・・・」


真っ暗な映画館内に入って、イスに座ってから、彼女はポツリと呟いた。


「・・・空いてるっていうか、俺たち以外、誰もいねぇし・・・」

「・・・これってもしかして、貸しきり状態・・・?」


一番後ろの端っこの席に座っていた彼女が、急に立ち上がった。
そして、俺の前を通って、劇場のど真ん中のイスに座る。


「え・・・え?!ど真ん中?!」

「いいでしょ?だって、どうせ2人なんだもん」


薄暗いライトで、彼女の笑顔が照らされた。
俺は立ち上がった。



ま、いっか。




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