キミと 夜空と 星空と。




「それに・・・お姉ちゃんには、忘れられないヒトがいるから・・・最後に傷つくのは、睦月君だよ・・・」




急に現実に引き戻された気分だった。


少しの間忘れていた真実が、目の前に叩きつけられる。
真っ暗だった。


人々のざわめきが、鳥の鳴き声が、さっきまではっきりと聞こえていたものが見えていたものが、何も伝わってこなくなる。


「・・・知ってるよ。全部。だからこうして・・・むしゃくしゃしてんだよ・・・」


当てる場所のない怒りを込めて、近くにあった壁を思いっきり殴る。

痛みは感じなかった。

いつか「興奮しているとヒトは痛みを感じない」と聞いたことがあるけれど、案外本当なのかもしれない。


< 90 / 183 >

この作品をシェア

pagetop