星空とミルク
 母の後ろ姿を見ながら、私は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、自分の席についた。
おいしそうな匂いをいっぱいに吸い込んでからいただきますとつぶやいてフォークを手にとる。
エプロンで手を拭きながら母が台所からでてきた。テレビのニュースに目をやりながら、「最近本当に物騒な事件が多いわね」なんてひとりごとを言う。
「今日の帰りは何時になりそう?」
水の入ったグラスを片手に、私は母にきいてみた。
「それがね…」
母は少し気まずそうに間をとって、
「今日は夜中まで帰れそうにないのよ。課長の主催する飲み会があって断れなくて…。1時までには帰るから。」
これもいつものことだ。
母は月に何度か飲みに行く。
それにしても今夜はかなり遅い方だ。
ついに男でもできたのか。
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